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そしてみな、裸になった

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本当のアタマ

 どうも、卓上のハッケヨイです。まずテスト記事を投稿させていただきます。

 みなさん、最近ハダカになっていますか?アタマというゲームを語る上で裸単騎七対子、いわゆる『ハダカ』の存在は決して無視できません。四倍満32000点という破格の素点と、それに上乗せされる役満祝儀。打ったことのある人も無い人も、大多数の方は「アタマはハダカになるゲーム」と認識しているのではないでしょうか。しかし、対照的に原点回帰する意見がでました。

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(いずれもtwitterより引用)

「本当のアタマはそういうものじゃないよ、麻雀の基本は面前だよ」、という“本当の麻雀”ならぬ“本当のアタマ”の発想です。私はこの一連の発言を受けて「東京モンはアタマを知らんのう」と反射的に応えてしまいました。しかしよくよく顧みれば、未来のアタマについての有意義な議論にもなりえる重要なテーマです。

 というわけで今回はこの視点についての考証を試みます。本当に面前手組は有効なのだろうか?ハダカ狙いとは本当にリスクが高いだけのただのロマン役なのだろうか?先ず、アタマの戦略に対する歴史的な経緯から振り返ってみましょう。

西家アタマは負けアタマ

 アタマの黎明期に出た格言の中に「西家アタマは負けアタマ」というものがあります。西家がアタマをすると親にツモ番が多く回るから結果的に親の先制立直を誘発するため子方にとってトータルで損になるよ、という実にシンプルな発想と実体験から生まれた言葉です。

 確かに、アタマの下家はよくツモ番が回ってきます。裸狙いをしているならば2アタマしていても対子被り無しで鳴ける牌は9種27枚。面前手に不要な么九牌が多めならば序盤で3アタマまではスムーズに展開します。この時親は南家に対して3巡のアドバンテージを持っていることになるのです。しかもムダツモの么九牌は西家がアタマで回収して貰えるわけですから更にツモは加速、加速、加速。当然のように仕上がる先制。『両面待ち』七対子が横行するこのゲームでは破格の強さを誇ります。何しろ大概の牌はアタマとして衆目に晒されていますから、何枚もの山残りを期待できる良質なターツを選び取ることは河の情報から手さぐりになるしかない三人面前に比べて容易なことなのです。圧倒的な和了率であることは想像に難くありませんね。

 まあしかしアタマ側からすれば、その頃には西家も4アタマは叩けているだろうから道中(*)ならば当然聴牌、勇気を奮えばハダカにだってなれるはずです。先制を打った親面前と仕上がった西家アタマ。傍観者と化した南家だけがただ苦境に立たされることになるのが常だなあという肌感覚。

 古い格言を持ち出しましたが、そんなシチュエーションは今では滅多にお目にかからなくなりました。それは一体なぜでしょうか?それでは次に、簡単なモデルを使って「アタマvs面前」の構図についてを考えてみましょう。

 *道中七対子の略。鳴き七対子の総称。

1人アタマと2人アタマ

 対局者は全員「全てハダカに辿り着くまでアタマし続ける」アタマプレイヤーと、「どんな手が来てもアタマせずに手を仕上げる」面前プレイヤー(仕掛けも当然含めるが、便宜上こう呼ぶことにする)のどちらかの立場を選択するものとします。

ⅰ.1人アタマの場合

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1人アタマの場合。プレイヤーはアタマ、面前(上家)面前(下家)に分かれます。この場合の上、下はアタマのプレイヤーから見てのものです。この3人の1時間当たりの期待収支ポイントを以下に図示します。

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(試算にあたってのルールはアタマの聖地スクイズに準拠)
 面前が二人のため展開は長引きます。1時間あたりのゲーム数はおおよそ3ゲーム弱。ハダカが和了できた時点で約+10pとなるので、アタマ側は4Gに一度ハダカを和了できればラスを引いた際のオカウマ-2.5pをほぼペイできる計算ですが面前の速度に対して苦境。面前同士の勝負は常にアタマの下家の圧倒的優位です。

ⅱ.2人アタマの場合

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次に2人アタマの場合。プレイヤーは面前、アタマ(上家)アタマ(下家)に分かれます。繰り返すようですがこの場合の上、下は面前のプレイヤーから見てのものです。この3人の1時間当たりの期待収支ポイントを以下に図示します。

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(試算にあたってのルールはアタマの聖地スクイズに準拠)
 アタマが二人のため超高速の展開が繰り広げられます。1時間あたりのゲーム数はおよそ5ゲーム強。ほぼ全てのゲームでハダカが発生し、より多くのハダカを決めたプレイヤーが勝ちます。ハダカになって物理で殴る。この場合も面前の么九牌を多くアタマできる下家にアドバンテージがあります。面前プレイヤーは手牌が長いので放銃は常に回避できるものの、役満の祝儀被りを避けることはできず祝儀のみでおおよそ15~20pを失うことになります。とてもではないがやっていられたものではありません。

 このモデル解説を見て「いやあ、こんなの空論でしょ」と思ったアナタ!するどい!そもそもアタマのポテンシャルはこんなものではありません。常に無理ハダカをしていればそりゃあ負けも込みますが本当は道中という強い武器がある!たかだか曲げるしか能の無い面前に負ける謂れはないのです!捌いて短くしてハダカになって物理で殴る!至高!

 すいません、少し興奮しました。話を戻しますと実戦のイメージでは基本的にはモデル通りの収支に落ち着くはずです。1人アタマの時は「面前を突破して如何にハダカがキマるか」によって大きくブレは出るでしょうが、まあだいたいじりじりと負けていくことになります。アタマ慣れしていない人間の無理アタマは進行速度に難がありますから、打ち慣れた面前2人に完封される姿も瞼に浮かびます。というわけで本稿にあがった“本当のアタマ”の内容は、この1人アタマのシチュエーションに関しては的を得ているといえるでしょう。しかしそれでもまだ私は胸を張ってこう主張できます。「東京モンはアタマを知らんのう」、と。

この世はこのナプキンのように動いている

 ここまで話を進めれば、聡明で果敢なアタマヘッズである皆様にはもうお分かりの事かと思うが今しばらくお付き合い戴きたい。先程の2枚の表をさっと見比べてみて欲しいのです。結局この2パターンの戦略の差異というものは「最初にアタマをした人間の上家がアタマに手を染めたかどうか」に過ぎない事がわかるでしょう。

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 A及びBがアタマ及び面前に戦略を固定した時、Cのプレイヤーが取り得る戦略と得られる利得を以下の図に示します。

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 ハダカになった子一等賞。これはもうポーカーのGTOなんて比べるべくもないゲーム理論の初歩の初歩の初歩の理屈ですね。これでアタマをしない人間は、きっと前世は侍だったのでしょう。下家がアタマを始めたらすかさずアタマ。取り残された面前と「両面で刺し殺されるかハダカで叩き殺すか」の血で血を洗う殺戮闘争の始まりです。 

 しかし、ちょっと待って下さい。取り残されたBはそのまま悠々と面前を続けるでしょうか?そんな訳はありませんね。ぼーっとしていたらだいたいどちらかのハダカが始まって土俵の外に押し出されてゲームオーバー。よっぽど配牌で横に出来上がっていない限り彼の取り得る選択肢はひとつ。そう、「一緒にアタマ競争をしてハダカの付き合いをする」しかないのです。

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 「この世はこのナプキンのように動いている」これは、名著SBRスティール・ボール・ラン)に登場するハニー・ヴァレンタイン大統領の言葉です。誰かが最初にアタマをすれば、全員がアタマをせざるを得ない。これこそが“本当のアタマ”なのです。

アタマは、ハダカに始まりハダカに終わる

 最後に、年若くして真理の一端を掴んだ1人の青年の言葉を借りたいと思います。

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twitterより引用)

アタマ!オッペケペ~!

 

それではみなさん、またお会いしましょう。ゴッツァンデス!